数独の夕べ 2017年5月イベントレポート

 5月11日、毎日メディアカフェにおいて「数独の夕べ5月」が開かれました。

 今回はまず日本数学検定協会常務理事の高田忍さんが「数学検定の現状と今後」と題して話しました。
 日本数学検定協会は20年以上にわたって、実用数学技能検定(数検)を実施してきました。現在の受検者は年間で約36万6千人に達しているそうです。高田さんは子どもたちが概数でとらえることが身についていない現状を実感していて、それは社会と学びが結びついていないのではないかと問題提起されました。



 また、高田さんは江戸時代に人気だった「算学」を現代に甦らせる試みもしています。数学検定協会は1月23日の「算額の日」に、東大寺にまつわる数学の問題を作って奉納しています。高田さんはその例として「東大寺の大仏が東海道53次の500キロを何日で歩けるか」という問題を紹介しました。「日本は実は数学大国でした。和算とは違う西洋数学が入ってきた時に、1年で日本語にできました。それは和算があり、算額があり、数学を楽しんでいたことが背景にあるからではないでしょうか」



 今後、数独協会との連携を考えており、「一緒にやりたいことは『アルゴリズム脳の育成』。より良い解を導くことが脳にとってどのような効果があるのかを研究したい。『なぜ?を発見!できる人づくり』を目指しています」と話しました。



 次に、「10進法について」を後藤好文理事が語りました。
 数独では1~9の数字を使いますが、これは私たちが10進法に慣れ親しんでいるからですが、さて人類はいつから数字を使うようになったのでしょうというテーマから始まりました。哺乳類や昆虫にも数を感知する能力があることを披露し、一方アマゾン川流域に暮らす先住民はいまだに3以上を表す言葉があいまいなことに触れ、数に対する感覚を表現する抽象化には、長い時間が必要であったと話しました。
 10進法のほかに、12進法や古代シュメール人の60進法を紹介し、フランス革命時に時計を10進法をしようと試み、わずか半年で混乱のため中止したと話しました。



 最後は恒例の数独ゲーム大会です。数独団体戦で、参加者が2チームに分かれました。第1回戦はチーム全員で相談して、数独問題を解きました。第2回戦はリレー競争。1人1分の持ち時間で解けるだけ解いて、1分過ぎたら次の人とタッチして交代。先に解き終わったチームが勝ちです。勝ちチームのメンバーに、賞品がプレゼントされました。

 数独の夕べの次回は6月8日(木)18:30~20:00です。初心者も歓迎します。


大槌町議会、芳賀議員が講演で「ようこそ数独」を紹介

去る5月10日、千葉商科大学において、岩手県大槌町議会副議長の芳賀潤氏が「東日本大震災の教訓ー今だからできること」という講演をなさいました。

芳賀氏はこの中で大槌町の高齢者が数独に熱中していることや、(株)ニコリ、日本数独協会の協力で大槌町から生まれた数独練習帳「ようこそ数独」が発売になったことを取り上げていただきました。

4/23-24 岩手県大槌町を訪問しました。

岩手県大槌町から生まれた数独練習帳『じぃじとばぁば ようこそ数独!』が4月20日、全国一斉に発売になりました。さっそく、この本の故郷とも言える桜満開の大槌町に4月23日、24日の二日間、お伺いいたしました。

東京から4時間半。釜石駅で出迎えていただいたのは、大槌町で数独を通して高齢者支援を続けられているNPO法人ソーシャルハーツの川上誠さん。
まずは『大ヶ口1丁目災害住宅集会所』へ向かいました。



集会所に来ることを楽しみにされている数独愛好者のみなさんに、この本の作られた経緯を、次のようにお話しいたしました。

この数独練習帳「ようこそ数独!」は【優しい、易しい、やさしい数独】といった開発のコンセプトをもとに、ただ単に解きやすい数独問題集ではなく、数独の本としていろいろな新しい試みなどで構成いたしました。これはみなさんの声によって、みなさんご自身が作られた数独の本です。この1冊を通し、数独で笑顔になっていただきたい……

その後、川上さんはいつものように数独を解きながら解答の解説をされ、みなさんとの楽しいひとときを過ごしました。
そして、そして次の集会所『ぬくっこハウス』へ移動して、同じくご高齢者の方々にパフォーマンス。 またまた移動で『大槌第7仮設住宅集会所』でのパフォーマンス。



翌24日も『エールサポートセンター』、『はまぎくデイサービス』、『多世代交流会館』等々の集会所で「ようこそ数独」を解説させていただくとともに、同時期に発売となった子ども対象の『数独から生まれたお絵かきパズル「絵どく」』の紹介もさせていただきました。各集会所スタッフのみなさんからは「絵どくは、高齢者にも面白いのでは? 試してみたいですね……」とご好評をいただきました。二日間、あわせて6ヵ所の集会所巡り。川上さんによると「ご高齢者は移動が大変だから、我々が移動するんですよ」……なるほど。



6ヵ所の集会所の他、大槌町町議会芳賀潤氏やケアプラザおおつち/佐々木エールサポートセンター長、また大槌町役場にもお伺いして「大槌町と数独活動」などについてお話しさせていただくとともに、大槌町復興のお気持ちなどもお聞きすることができました。

また、岩手日報釜石支局より「ようこそ数独」の取材もお受けし、大槌町での文化的活性の大切さと同時に、全国初として大槌町からの「数独認定」の期待が大きいことも改めて感じました。



大槌町の<数独大好き>ご高齢者のみなさんが真剣な表情で数独を解いている姿。そして「ようこそ数独」を手にされた時の嬉しそうなお顔を拝見したら、この本の制作苦労など、どこかに吹っ飛んでしまいました。ご高齢の方々から「次はこんな数独本が欲しい!」と言う声をあげていただけることを励みに、ぜひ全国の高齢の方々にも「ようこそ数独」を楽しんでいただけたら…と感じた二日間でした。ほんとうにありがとうございました。